10:44 AM

日々

いかなごの季節になりました

近所のスーパーでいかなごという小魚を売り出していた。解禁したらしい。

私の住んでいる関西では、春に家庭でいかなごの釘煮を作る風習がある。甘辛く煮付けた佃煮の一種。春の風物詩である。

家で作らなくても、スーパーや魚屋さんで釘煮を買うことができる。なんなら大阪国際空港(伊丹空港)でも。春を味わいたくて、私も少し買う。

 

ああ、本格的に春が来てしまったなあ。どんな服を着よう。どこに出かけよう。春野菜などを料理して、少しでも家に春を持ち込みたいと思っている。

演劇が観たい

大阪アジアン映画祭で映画を数本見たわけだけど、思わぬ副作用(副効用?)があった。"映画館としても使える"劇場がいくつか会場になっていて、大阪には劇場があることを知ってしまったのである…。今更かよって感じですが。

 

そこでビラを見ていたら、学生時代の思い出がむくむく湧き上がってきた。高校時代、演劇部の友人の舞台を観に行ったこと(彼女は大道具担当で、力仕事にも慣れていた)。大学時代、演劇サークルの後輩の舞台を観に行ったこと。どちらも大きな衝撃を受けた。心を全部持っていかれてしまう感じ。

故郷新潟にも劇場はあるし、高校の同級生は舞台を観に行っていたりした。東京で通っていた大学のすぐ近くにも劇場があり、それは知っていたが、全く興味がなかった。学生時代はとにかくお金がなかったし、サークルの練習と勉強、そしてその後のひどい鬱に耐えるので精一杯だった。

 

ミュージカルや宝塚は何回か観に行ったことがあるけど、それ以外のプロによる演劇は観に行ったことがない。それが大阪アジアン映画祭で劇場に行ったことで、少し興味が出てきた。ミュージカルなどは大劇場でのものしか観たことがないので、できれば小さな劇場で、舞台と観客との距離が近いものが観たい。

 

と言うわけで、ぴあやイープラスというチケットサイトをのらいぬのように見てます。高いものも安いものもある。東京でしかやらない舞台も多いのだなあ。でも第2の都市でやるとしたらだいたい大阪になっていて、恵まれているな、ありがたいなと思う。とはいえハマったら抜け出せない深い沼が待ち受けているような気がしなくもない。

 

学生時代は興味もお金もなく観られなかったものが、社会人になって興味を持ち、少しではあるが観られるようになっている。良きかな良きかな。将来に対して不安しかなかった学生時代の私の肩をぽんと叩いて、何も言わずにただにやりとしたい気分である。にやり。

ちょっとしたエール

今日は母校の合格発表の日だったらしい。

このブログを読まれている方には受験で第一志望に受からなかった方も当然いるだろうし、大学受験を経験していない人もいると思う(大学を受験できるのは、恵まれていることでもある)。

でもこれから言いたいことは自慢話ではない(と少なくとも自分では思っている)ので書きます。

 

合格発表の日、父と弟と新幹線で東京に出て、大学まで見に行ったのを覚えている。(父は仕事ついで、弟は便乗で東京観光)

合格できているか不安で、とても気分が悪かった。自分の受験番号を見つけてもウェーイとは喜べなくて、何だか狐につままれたようでぼんやりとしていた。

父がお祝いにと後楽園のババ・シュリンプというシーフードのお店で食べさせてくれたのを覚えている。

 

大学に入学したての頃は、どんな勉強をしてきたとか、同期と受験の思い出話をした。

 

そして10年が経った今日になって、電話で両親と合格発表の時の思い出話をした。

 

受験のことを今でも色々思い出すのって面白いなあと思う。

 

もちろん、入学後後の体験(学業、サークル、部活、なんでも)や社会人になってからの経験の方がずっと大事なことだって、みんなわかっている。

 

 

それでも、何というか、過去の体験(成功も失敗も)を時を経て思い出すのは面白い。思い出のリサイクル。それが「勉強した」という事実であっても、「中学や高校の同期と部活動の思い出を話す」のと同じことだと思う。試合で勝ったことでも、負けて悔しい思いをしたことでも。なんだか勉強の話だと色をつけて見られがちだなあ。

 

私は高校時代、ある程度勉強に時間を費やした。それは受験を経験した人のほとんどがそうだと思う。

生徒会活動はやっていたけど、意外にも負荷が低く、他の部活に入ることも考えたが、致命的なほどに運動音痴であることと、何にも興味が持てなかった(これはとても苦しかった)のもあった。でも、放課後に先生方に質問をしに行って、色々なことを教えてもらったり、学問に関する話(たまに無駄話)をしてもらうのはとても楽しかった。

 

高校時代に部活をやっていなかったことを激しく後悔したことは数知れない。

 

でも、今勉強を頑張っている人に言いたい。それは部活を頑張ることと同じぐらい、尊い経験だと。大学を受ける受けないに関わらず。志望校に受かる受からないに関わらず。そしてそれに対し罪悪感を抱いていた高校時代の私にも、激しく後悔している社会人になってからの自分にも言いたい。

 

 

頑張れ、高校生。

大学を受験する予定のある人もない人も。

勉強することに対し罪悪感を持つことはないよ。そこにはきっと、面白い世界が広がっている。

 

なんだか恥ずかしいから後でこの記事消すかも(笑)うーん、一期一会の文章ということで、お願いします。

韓国映画「ロボット・ソリ」

大阪アジアン映画祭で観てきました。(英題:SORI : VOICE FROM THE HEART)

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通信傍受衛星が宇宙から落ちてきた。彼女は全ての通信を傍受し、記憶している。10年前に行方不明になった娘をもつ男ヘグァンはその第一発見者となり、衛星の力を借り、彼女(ソリと名付ける)とともに娘を探そうとする。しかしNSAアメリカ国家安全保障局)とKARI(韓国航空宇宙研究院)はロボットを回収しようとしており、ヘグァンとソリは追われる身となる。

と言うわけで、SF的設定と親子愛が絡み合う、笑えて泣けてほっこりするお話。ヘグァンとソリのやりとりがとても可笑しく、楽しい。行方不明になった娘を探す父親の悲しみは深いものだが、劇中の台詞の掛け合いの楽しさが映画を明るくさせている。私も何度も笑った。

そしてやはりというか、予測できていたことだけど、行方不明の娘をもつ父親としての悲しみが全面的に押し出されるシーンには泣いてしまった。しかしこの映画は悲しみを映すばかりではない。行方不明になった娘が繋いでいく人との縁。みんなが彼女を愛していたこと。そして夫婦の絆。

切なく心温まる映画だった。この映画と出会えて良かったと思う。

 

英語版ですが、予告編があるのでどうぞ。

https://youtu.be/dmD--1rCI4g

台湾映画「52Hz, I love you」

大阪アジアン映画祭で、台湾映画「52hz, I love you」を観てきました。 

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https://zh.m.wikipedia.org/wiki/52_Hz_I_Love_You

 

運命の人が現れるのを待ち焦がれる花屋の女性、好きな人に想いを伝えられずにいるパティシエの男性、生活能力のないギタリストの青年と、彼との同棲生活に疲れ切っている彼女の話を中心に、物語は進んでいきます。みんなに訪れる、バレンタインの奇跡。

 

多幸感に溢れるミュージカル映画。普通の台詞より歌の方が多いんじゃないかな。ずっと楽しい音楽が流れ続けます。楽しい!

役者さんはみんな驚くほどの美声で、伸びやかで響きがあって表現豊かで、美声に美声が重なってハモる時はもはや至福。掛け合いも楽しい。耳の至福、そして美しく色鮮やかでハッピーな映像からくる目の至福。

 

私は映画の始まりから最後までずっと泣いていました。いや、決して泣くような映画じゃないんですけど。

まずは冒頭で台北101が映し出されたシーンから。何度も訪れた台北を思い出して。そんなの泣くところじゃないだろうみたいなところでぼろぼろ泣いていました。懐かしい。とにかく懐かしい。MRT(電車)のドアが開閉する時に鳴る音を聞くだけで台湾に行った時の思い出が蘇り、たくさんの人に親切にしてもらった思い出とか、友人とMRTに乗ったなあとか、美しい景色、濃い緑、熱帯の空気とかがヴアーと一気に襲ってきて、泣いてしまいました。

そして多幸感溢れる音楽の数々。これにやられて泣きました。日本と共通の悩みを抱えながら、なんとか生きていく主人公たち。でもそれはどこか楽天的な雰囲気で描かれます。

 

私が行ったのは幸運なことにゲスト登壇がある回にあたり、なんと魏德聖監督がいらしていました。

インタビューの後サイン会があったのですが、映画の興奮と感動、目の前にこんなすごい映画を作った監督がいるという状況に足ががくがく震えて止まりませんでした。人間って圧倒された時にこんなになるんですね。サイン会時、監督に「いっぱい泣きました、本当に感動しました」と中国語で言ったのですが、なんとか伝わったみたいで嬉しかったです。監督に「どこで泣いたの?」と聞かれ、「台北101が映った時点からずっと」と言うと、「何故?」と笑って聞かれました。「台湾が好きだから」、と答えましたが全然答えになっていません。わかってます。でもそうとしか言いようがなかったのです。私の大好きな台湾が溢れている。街の景色。市井の人たちの暮らし。やっぱり温かい人たち。それを思い出すだけで、泣けてくるのです。

 

魏德聖監督は超有名な方で、海角7號などを撮られた方。恥ずかしながら未見。もう、観るしかありません。

もしこの作品があなたの街で上映されることがあったら、ぜひ観に行ってみてください。あまりの多幸感に、確実に心を持っていかれることと思います。

春の訪れ

春がずんずんやってくる。

冬が終わるのが惜しいが、新しい季節は明るい気持ちで迎えたい。楽しい時間をできるだけ増やしたいもの。

桜を見ながらみんなで楽しく日本酒が飲みたい。肉汁たっぷりの焼いたあさりも食べたい。

 

さて、今年はどこに桜を見に行こう。

湿度も温度も高くて色気があって懐かしいもの

自分はたまに、湿度も温度も高めで、色気があって、懐かしい匂いのするものに倒れこみたくなることがある。

少女の正邪入り混じる女性性がストレートに伝わってくる絵とか、真夏の夜に読みたい漫画とか、ひたすらあったかい文章とか。特に眠れない夜。もうずっと昔から。

 

好みの文章に関しては以前もご紹介したこのブログを何度も何度も読み返している。

温かくて楽しくて泣きそうになる文章。

http://fukapillow.blog3.fc2.com

「誰かにとっての故郷を作りたい」と言った話がどこかの記事にあり、泣いた。

この方は以前「神聖少女帝国」というサイトを運営されていて、色気のある少女のイラストをたくさんアップされていた。柔らかい線に色っぽい彩色。引きこまれずにはいられず、何度も訪れた。今はもうなくなっているのが残念だけど。

 

漫画だと、真っ先に思い浮かぶのが戸田誠二のもの。特に初期の、ショートショートの作品は熱帯夜に読みたい。駆け出しの頃の熱量。そんな温度感がある。

あとは九条キヨZONE-00。下ネタが多いのだが、作中の季節はいつも夏で、登場人物たちの露出度も高めで、その肌艶の色っぽさにやられ、会話などから夏特有の温度の高さ、人々のテンションが伝わってきて、読者は蒸し暑い夏の匂いに包まれてしまう。

 

小説であれば、森奈津子の「西城秀樹のおかげです。」という短編集。エロと笑いとSFと。R-18、さらにほとんど百合なので注意。でも笑えるんです。エロと笑いの稀有な組み合わせ。

 

 

最近、そう言った湿度も温度も高い小説や漫画やブログに久しく出会えていない。インターネットの黎明期には、そのようなサイトも多かったような気がするのだが、自分のサーチ不足だろうか。でも、「湿度も温度も高い 色気 懐かしい 作品」とかでGoogle検索しても何も出てこないだろうなあ。なんかもう、倒れこみたくなるもの。包まれたくなるもの。そんなものに触れたい。

 

以前のヴィレッジヴァンガードには、そういったものの匂いがあった。戸田誠二森奈津子もそこで出会った。でもエロ本を扱わなくなってからその匂いは薄れたなあ。寂しいなあ。

 

どうか、そのような作品をご存知でしたら、ご紹介いただけないでしょうか。眠れぬ夜に倒れこめる先が、あまりにも少ないのです。