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日々

Canon Powershot S100(と富山)

Canon Powershot S100 が壊れた。

2012年春に購入したデジカメだから、もう4年半が経つ。
ギリギリ家電量販店の5年保証の対象となり、ほっとしている(5年保証は入っておくものですねホントに!)。

修理に出したら、いきなり恋しくなってきてしまった。

 

実はこのカメラ、マニュアルで様々な値を調節できるのだが、ISO感度も絞り値もシャッタースピードもいじらずAUTOのまま旅先でバシャバシャと撮る私。。。

一緒にいる人に遠慮してしまうのだ。撮影のために時間を取ってしまうことが。

(何よりも自分が旅先の景色や食べ物に夢中で、気持ちがカメラに向かわないというのもある。写真より実物を目に焼き付けておきたい!などと思ってしまうし、食べ物は時を移さず食べたい…)

そして最近ではもっぱらiPhoneで撮ってしまう。ブログやTwitterに上げるのが楽なのだ。

 

しかし、来年はもう少しカメラと仲良くしたいと思う。
旅先に限らず、日々の記録に。
もう少しゆっくりと、写真を撮る時間をとるようにしよう。
そしてその時間を楽しもう。
もっとカメラを、自分を外に連れ出そう。


Autoで撮るとこんな感じ。写真は2014年末に訪れた富山。

冬の富山湾。向こうに見えるのは新潟。

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新湊大橋。日本で一番長い斜張橋(しゃちょうきょう、塔からケーブルで橋を吊り上げる形式のもの)らしい。
ただひたすら、美しい。

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何故斜張橋にしたかというと、このあたりは港で、コンテナ船が下を通れるようにするためだそうだ。 

周囲にはコンテナがたくさん積みあがっている。
これらの貨物はどこから来て、どこへ行くのだろう。
このタイプの橋は強風の時は揺れるから、通行止めになるらしい。

車で上を通ると、目の前に3000m級の山々がそびえたっている。
両脇には海。
こんなに気持ちがいいことって、ない。

壮大な山々と海が作り出す光景に、ただただ圧倒される。

 

 

なんだかカメラの話を離れて富山のPRのようになってしまったが、本当にいいところなのでお勧めしたい。

そして修理したカメラを受け取りに行くのは年明け。
ああ、早く戻ってきてほしい。

大山崎美術館 「クロード・モネ展」

大山崎美術館の「うつくしい暮らし、あたらしい響き クロード・モネ展」へ行ってきた。

http://www.asahibeer-oyamazaki.com/sp/tokubetu/31887/

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大山崎美術館はとても素敵な場所で、建物が美しいのみならず、紅葉が多く残っていた。先週京都中心部に行って「紅葉も終わりだなあ」と思った自分を恥じた。

日本中の美術館からモネの絵が集められて展示されている。こんなにもモネの作品が日本にあったのかと驚く。

有名な睡蓮の絵もあったが、私の心を捉えて離さなかったのは他の風景画の数々だった。
海の絵、森の絵、野の絵。
印象派というとパステルカラーの絵が思い浮かぶが、そんなやさしいものではない。柔らかい色と、はっきりした色と。絶妙な色遣い。そして力強い筆致。特に印象に残ったのが、海の色だ。切ないまでに青い。

遠くから見るのと、近くから見るのとでは全然違う。何度も距離を変えて見た。展示室を何周もした。
椅子があったら、ひとつひとつの絵と何時間でも対峙できるような気がした。

この絵画の世界に入りこみたい。
そう思った。

見終わっても、しばらくあの世界から戻れなくなっている。とても良い展覧会だった。
今週末までなので、行かれる方はお急ぎを。

今年、買ってよかった物

お題その2「今年、買ってよかった物」

 

はてなブログのお題に挑戦しようと思ってAmazonの注文履歴を見たら、あまりにも自分の欲望の変遷が露骨に表れていて眩暈がした。

とはいえ、ここで懺悔をしてもしょうがない。お題は「今年、買ってよかった物」だ。
「これは生きたお金の使い方だった」と思うものは何か、と改めて考えると、「人への贈り物」ではないか、ということにたどり着いた。
自分の手元には残らないが、買ってよかったと思うもの。相手が喜んでくれるだけではなく、選ぶこちらも幸せな気持ちになれるもの。

 

中でも良かったと思うのは、デメルというウィーンのお菓子屋さんのものだ。
お世話になった会社の先輩へのお礼をどうしようかと考えていると、母から「デメルはどうかしら」と提案があったのだ。

デメルはとにかく包装が悶えるほど美しいのである。

オレンジピールチョコレート

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クライネクーヘン。ひたすらに美しくて開けるのが惜しい包装紙。

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包装紙を開けると…

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味はイチジクとピスタチオの二つ。

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母の勧めるがままに買い、自分も味を知っておかねばと自宅用にも買う。

お…美味しい…!!


オレンジピールチョコレートはとても瀟洒な味。

クライネクーヘンという小さなケーキも、うままままままま…
お酒が効いていて大人の味である。

 

先輩からも好評だったので、贈答品としてぜひお勧めしたい。
美しい包装に、そしてその美味しさに二度うっとりすること間違いなし。

 

悔いのない買い物というのは、清々しい。
来年も気持ちのよい買い物がしたいと思う。

 

雨宮まみ「東京を生きる」

雨宮まみさんが亡くなったことは前に書いたけど、著作を全部読みたくなって、これまで怖くて手が出せなかったこの本を手に取ってみることにした。

東京を生きる

東京を生きる

 

東京を舞台にした、ヒリヒリしたエッセイの数々。

ネットでの連載は読んでいた。その後書籍化したことを知ったものの、どうしても手に取ることができなかった。

私は大学時代の4年間を東京で過ごした。人生の中で最もひどい4年間だったと思う。私は全然東京が好きになれなかった。多くの人々。忙しい電車。混雑、混雑、混雑。どこに行っても人がいっぱいで、飲食店では席と席の間が驚くほど狭くて、この都市では空間が一番高価なのだと知った。
当時の精神状況は最悪だった。死にたくてしょうがなかった。どうして自分だけ常に心がどしゃぶりで、みんなが太陽のもとで笑っていられるのか、不思議でしょうがなかった。一度医者にも行ったが、先生と全く合わずに行くのをやめてしまい、ひどくトラウマになってその後受診しなかった。精神科が恐ろしくてしょうがなかった(今では当時の自分をひっぱって別の病院に連れていきたいぐらいである)。

 

決して明るい本ではない。行き場のない数々の思い。地方出身者であるということ。故郷に対する複雑な思い。尽きることのない欲望。東京という都市への、欲情。

おそらく、魂を削って書かれた本だと思う。それだけ、読者の魂にもひっかき傷を残す。

どの章も他人事とは思えず、東京で暮らしていた頃を思い出しては苦しくなり、でも文章に惹かれる気持ちを止められない。何度も本を閉じては開いた。

 

雨宮さんのInstagramを見ていると眩しくて、雨宮さんの暮らしていた東京と、自分の暮らしていた東京が別の都市のように思える。
でもきっと同じ都市なのだ。雨宮さんのInstagramは楽しい投稿ばかりだけれど、この本を読んでいると楽しいばかりでもなかったのだろうなとわかる。

 

この本を本棚の中でも一番お気に入りのコーナーに置こうと思う。
雨宮さんの文章は、その視線は、決して読者を裏切らない。