みなさんにお聞きします。
詩集にお金を出そうと思ったことはありますか?
それも、現代短歌(国語の教科書で紹介されるちょっと昔のものじゃなくて、本当に【今】のもの)に?
私が歌集を買おうと思ったのは、この本が初めてでした。
『サイレンと犀』岡野大嗣
どんな短歌が収録されているかは、帯の裏面にいくつか載っていますので、ご覧ください。
その他、いくつかご紹介します。
「散髪の帰りの道で会う風が風のなかではいちばん好きだ」
(わかる〜〜〜)
「Nujabesで耳をふさげば掃きだめの夜もワンオクターブ明るむ」
※Nujabes(2010年に亡くなった伝説のDJ、トラックメイカー、音楽プロデューサー)の入門には何がいいのかわからないけどとりあえずこの動画を貼っておきます。アマプラで大量に無料で聴けるので是非ぜひディグってください!!(現代語)
Spotifyはすみませんがよく知らないです。。。インスト、もしくはトラックに英語ラップが載っている曲が多いです。
帯にある、
「もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい」
以外でも、背筋にゾクゾクくる歌もあります。
「抜けるほど青い空って絶望と希望を足して2で割った色?」
「ならべるとひどいことばにみえてくる頑張れ笑え負けるな生きろ」
「信じれば夢は叶うという夢を信じ続けた被害者の会」
いや…タイトルまで短歌かよ、最高すぎるだろ。
こちらも裏表紙
「Googleに聞いてもヒット0だったからまだ神にしかバレてない」(岡野大嗣)
いや…お前が神か。という短歌ですね…
明るさを感じるもの、闇を感じるもの、それ以外でも、今を生きる私たちの、自分では言葉にできない様々な感情が、三十一文字(みそひともじ)の形をとって並んでいる。
短歌のイメージというと、
万葉集とか
百人一首とか
現代語だと「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」(俵万智)とか
「白鳥は哀しからずや空のあを海の青にも染まず漂よふ」(若山牧水)←旧仮名遣い?とか、だったんですが、
「今」を生きる私たちのリアルな感情を、しかも場合によっては自覚すらしていなかったものを、掬い上げて鮮やかに三十一文字の形で表現する、現代歌人の恐ろしい力を感じさせる2冊です。ぜひ、読んでみてください。