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普通の会社員だったはずが持病のせいでレールを外れた人生を送ってるけどそれはそれで楽しいブログ

森奈津子 『西城秀樹のおかげです』 『からくりアンモラル』

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お好みに応じてどちらか一冊だけでも手にとっていただければ幸福の極み。興味なければ無視してください。
笑いを求めるなら西城秀樹、切なさを求めるならからくりアンモラル。
私は、現代日本社会でいかに人間のセクシュアリティがリスペクトされておらず、特に女性のそれが踏みにじられているかを問題視したい。
みんな女の身体も男の身体も、それ以外の人の身体も軽視しすぎじゃないですか?
誰かの彼女が、妊娠したか心配して婦人科に行ったことを男どもが笑い話にしてるの、ボッコボコにタコ殴りにしたくありませんか?
未だになくならないセクハラ発言。吐きそうになるようなマタハラ。
政治家の女性蔑視発言はげっそり。
未だに少子化は女だけのせいだと思ってる人々。(個人の自由意志とは)(そして男もいないと子供はできないのに…?)
新型コロナウイルス関連で、バイトの収入がなくなりパパ活に手を出したり、家庭不和から男の家に転がり込み、望まない妊娠をしてしまう10代の女性たち。
酷いDV。虐待。望まない妊娠でシングルマザーになってもDV男からは養育費も強制的に取り立てることはできない。
リアルの世の中では、女性が(一般的に)男性より腕力が弱いこと、また、妊娠の可能性があることから、性犯罪の対象になりやすかったり、軽率な、もしくは無理矢理な性交渉(≒レイプ)で望まない妊娠や性感染症感染という恐ろしい危険がついて回ります。
セクシュアリティを踏みにじられているのは女性だけではありません。男性も、それ以外のセクシャルマイノリティもそうでしょう。
(LGBTQってよく言うけど、他にも色々いると思うので、私はセクシャルマイノリティと呼びがちです。)
セクハラといえば「目上の男性が年下の女性に対して行うもの」みたいな旧石器時代かよ!(殺)という認識が溢れているのにも怒り狂っています。みんな、相手が男だったら何を言ってもいいと思ってないかい⁇
男女の枠にハマらない人々-トランスジェンダーやクエスチョニングなどはもはや社会に存在しないかのように扱われてる。
そこで、(とりわけ女性性が傷つけられたように感じているあなたに)ご紹介したいのはこの2冊。
西城秀樹〜はエロx笑いxSF。
からくりアンモラルはエロx切なさxSF。
ポルノかよ!
はい、ポルノです。
(はてブに追放されないか心配)
そしてSFは、セクシュアリティを題材にするのにぴったりの仕掛け。あまり書くとネタバレになるのでやめとく。
森奈津子の小説には、徹底的な女体尊敬、女体崇拝、女体賛歌の考えが貫き通されています。
その姿勢にどれだけ救われたことか。
(ちなみにこの2冊、絡みは98%女性同士です)
「自分の作品では男性性を傷つけない書き方にも気をつけている」とどこかのインタビューで言ってらして、骨のある作家だなと思いました。
なお、著者自身がバイセクシャルでサディストでマゾヒスト。セクシャルマイノリティが世の中で認められるよう、実際にペンで闘ってきた人であり、『耽美なわしら』は異性愛者、同性愛者、バイセクシャル、Aセクシャルなどが総出で笑いを繰り広げる「セクシャルマイノリティってこんなだよ!」という初心者向け教科書的立ち位置の本になっております。
また、根本的スタンスとして「サディストはマゾヒストに奉仕するもの」みたいなところがあり、「私/俺、Sなんだよね〜」と単なる性格の悪さを「S」と自称する人間に「SはサービスのSよ…」と鞭を片手にピンヒールを向け、冷ややかな目線を向けられるようになりました。知り合いのSM嬢曰く、SMって経験が非常に重要な奥深い世界らしいですよ。何の話だ(脱線)
『からくりアンモラル』の表題作は保健体育の教科書に袋綴じで掲載するべきだと、常々思っています。思春期の女性が感じがちな、自分の身体の社会的意味が変わっていくことの戸惑いと、社会に溢れる女性の身体のイメージや、自分自身の体に対する嫌悪は、わかる人には痛いほどわかるでしょう。意外なことに、それを経験せず大人になる女性も多いようです。成長過程って人それぞれねぇ。ちなみに私は自分の身体から性というものを剥ぎ取って無性になりたかったよ。
おそらくこの本の中には「児童ポルノ」に分類される短編もあるでしょう。登場人物は18歳未満の子もいるからね。でも、だからこそ私は救われているところがあるので(自分の身体に戸惑い辛かった思春期時代の自分を慰められている気がする)、児童ポルノの一律規制には疑問です。
なお、著者の森奈津子氏は「実被害児童がいる児童ポルノは断固として禁止するべき」(子供の裸の写真とかでしょうか)とおっしゃっていて私も激しく同意します。
ポルノ自体の規制も、性犯罪の抑止に繋がるかは疑問です。海外旅行によく行く人にはわかると思いますが、日本よりもっとポルノ規制が強かったり、性道徳が厳しかったりする国でも(夫婦でない男女は同じホテルの部屋に泊まってはいけないなど) 、平気で日本人女性に対する性犯罪は起こります。AVのせいで日本人女性は性にオープンだと勘違いされているのかもしれませんが、ファンタジーとリアルを混同するのは人間として失格だからな!!(ビシィッ!!)
女性もしくは男性、もしくはそれ以外の人がモノのように扱われるポルノがあったとしても、私はその存在を否定しません(私の好みではないですが)。それによって救われている人もいるかもしれないからです。大事なのはリアルで他人に危害を加えないことだよ。
社会学赤川学が確か書いていたけど、性への自由と、性からの自由(性的なものに触れない自由)は両方保障されるべきよね。
みんな、自分の身体は自分のもので、大事にされるべきものだし尊重されるべきものなんだよ。性的な要素含めて。
ちなみにこれらの本は今は亡き新潟古町のWITHビルのヴィレヴァンで買ったものですが、ある時期(2011年頃)から全国のヴィレヴァンからエロ系、アダルト系が一斉に撤去されてしまい、あの猥雑な雰囲気が大好きだった私にとってはとても悲しかったのを憶えています。
自分がアダルト系買うかどうかは別としてさ、つまんねー世の中になったもんだなー。
 
ちなみに次に読むならこれです。どうぞ。
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