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日々

ASIAN KUNG-FU GENERATION ツアー2018「BONES & YAMS」

たまに、どうしてこんなことが起こるんだろう、ということが起こる。

6月15日、Zepp Osaka Baysideでのアジカンのライブチケットが偶然手に入った。仕事で来られなくなってしまった人のチケットを譲り受ける形だった。

 

アジカンと言えば、私が中学生の時に「リライト」がアニメ「鋼の錬金術師」のテーマソングになり流行った。その後アルバム「ソルファ」(傑作)を家族の誰かが買って、繰り返し繰り返し聴いた。中でも「Re:Re:」が特に好きで、今でも好きだ。

大学生になって、同級生から他のアルバムの音源をもらった。母がアジカンを好きになり、アルバムをいくつか買ったのをitunesに入れさせてもらった。そうこうしているうちに、アルバム「ワールド ワールド ワールド」が出た。これは夜明けをテーマにしたアルバムで、当時精神的にどしゃ降りだった私に明け方の空を見せてくれた。

それから社会人になって、昔の曲は繰り返し聴いてはいたけど、新しいシングルやアルバムは追っていなかった。

ある日、離れて暮らす母がアジカンを特集したテレビ番組の録画を送ってくれた。ボーカルの後藤正文が「ロックで言いたいのはひとつだけ。『大丈夫だ』ということ。」と話していた。正確な言葉ではないと思うけど。今でも時々思い出す。

 

それから色々あって、今私は人生の岐路に立っている。具体的に言えば、病気で職を失いそうだ。動きたいのに動けない。ふと動けたと思ったらまた止まる。混迷極まる日々の中で、そのチケットはひらりと手の中に舞い降りてきた。

 

これは予習しなければ、と思い、ツアーのセットリスト(※ライブの曲順)を検索する。既に終わった会場の情報が出てきた。itunesで新しく出たベスト盤を買い、手持ちの音源と合わせて、極力セットリスト通りのプレイリストを作り上げる。ライブまでの残された時間で、できる限り何度も聴く。歌詞も検索して、じっくり読みながら聴いてみる。ゴッチの言葉の世界に浸る。

ライブ会場に行くまでの電車の中でもプレイリストを聴き続けた。ロックのライブに行くのはRADWIMPSのHuman Bloom以来2回目。今回はオールスタンディングだという。スタンディングは初めてだったので、ドキドキしながらライブへの荷物の持って行き方などを調べた。可能な限り軽装で挑むために、小さいメッセンジャーバッグ的な物もヴィレッジヴァンガードで買った。

 

会場に着いたら既に開場していた。仕事終わりと思しき人が後から入ってきた。少し後ろの方に立ってみる。ワンドリンク制で、手にドリンクを持っている人も多い。私はライブ後に飲み物を注文することにした。

ライブは19:00スタート。その前にイギリスから来たというアーティストの演奏があった。どんどん人が入って来て、いつのまにかライブハウスが人でいっぱいになる。

 

19:00になり、アジカンの演奏が始まった。

「生」ってこういうことか、と思った。

整えられた音源の音とは異なる、剥き出しの音が耳を襲う。ライブに行き慣れていないので、初めは少し戸惑った。「CDなどは音楽の缶詰でしかない」と大学でラテンアメリカ音楽の授業を取った時に教わったことを思い出した。

ほぼ予習してきたセットリストのとおりに進んでいく。昔の曲もたくさん。「ソルファ」を聴いていた高校生の頃の私が、「ワールド ワールド ワールド」を聴いていた大学生の頃の私が、心の中で泣いていた。大人になって生でアジカンを聴けるなんて、思ってなかったよ。

 

ライブに行くと生きていることを実感する。

「良い夜にしましょう」とMCでゴッチが言う。

 

アジカンの歌詞には希望を感じられるものが多い気がする。アンコールの「今を生きて」で、笑ってさよならしよう、世界へ駆け出そうと言った旨の歌詞を聴いて、今後何があるかわからないけど、今日は良い夜だったな、もしかしたら「大丈夫」なのかもしれない、とぼんやり思った。上手く言葉にできないんだけど。でもそれでも良いのかもしれない。言葉ではなく音楽でしか伝わらないものもあると思うから。

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セットリスト

https://www.yawarakai.com/18018#2018615_Zepp_Osaka_Bayside