10:44 AM

日々

中国旅行記(5日目 敦煌→西安)

敦煌最終日。

 

ここのホテルは鳴沙山を見ながら朝食が取れるのです。ご飯も美味しいし最高。こんな静かなところでのんびりできるのも最後かと思うと、少し寂しい。

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このホテル、びっくりするぐらい広いので、午前中は少し散策して、その後レストランで昼食をとりました。

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中国犬。

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甘くないパンケーキみたいなもの。ピリ辛の味噌につけて食べます。美味しい。

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トマト、木耳、豆腐などのスープ。素朴なお味。

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さよなら敦煌

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いざ西安に着いてみると、どうやら交通規制が敷かれていてホテル近辺までのシャトルバスが出ていないとのこと。

“Today is special! The traffic is busy!!”

タクシーもホテルまでは辿り着けないと言われ、とりあえず街の中心にある鐘楼までなら送ってくれるとのことだったのでお願いしました。

この時は、この後大変なことになるなんて想像もできなかった…。

 

今回予約したホテルはGrand Park Xian。旧ANAホテルで、現在はシンガポール資本になっているようです。このホテル、永寧門という地下鉄の駅からすぐなのですが、まず、ホテルの方に行く出口が封鎖されていました。しょうがないので、封鎖されていないところから出たらこの有様。

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人、人、人…。

ホテルまでは大通りを挟んですぐなのに、そもそも大通りが封鎖されていて渡れない。

「一体今日は何があるんだ⁈」と聞きたくても聞けない、己の中国語力…。

なけなしの勇気を出して警備員さんに「ここのホテルに行きたいんですけど、どう行ったら良いですか?」と聞いても、「うーん今は無理だね。」と言われ、「何時になったら交通規制が解除されますか?」と聞いたら「11時」と…。

今7時半やで…。

 

こうなったら強行突破しかないと、人波をかき分けかき分け…行き止まりにぶち当たり…引き返し…揉みくちゃになること1時間以上。

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なんか、人混みの規模が日本とは違うわ…。さすが13億人いる国…。

ホテルに着いてフロントに「今日は何があるんですか?」と聞いたら、「ショーです。素晴らしいですよ」とのこと(日本語を話せるスタッフの方がいました)。何やら1000を超えるドローンのショーだったみたいです。

ホテルの上層階からこっそりチラ見↓

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どうやらショーは電波障害でドローンが上手く動かず、空中で「文字化け」を起こしてしまったようですが、ホテルに辿り着くだけで気力と体力を使い果たした私はその後泥のように眠ったのでした。

www.afpbb.com

中国旅行記(4日目 敦煌)

敦煌の観光スポットで一番有名なのは莫高窟ではないでしょうか。5世紀から15世紀まで造営された大規模な石窟群で、私も世界史で習った記憶があります。

 

宿を8:00に出発し、車で莫高窟数字展示中心に向かいました。莫高窟を見学する観光客はまずここで2本映像を観なければなりません。予習必須ということですね。外国人が入場できる時間帯には制限があるそうで、私達は9:00の回を事前に予約していきました。映像を観る際に耳につけるイヤフォンには日本語チャンネルも用意されています。

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その後は観光専用バス(無料)で莫高窟へと向かいます。日本人観光客が集められ、日本語を話せるガイドさんが案内してくれました。

現在確認されている石窟は735あるそうで、そのうち12窟を回りました。

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どの石窟を回るかはガイドさんによるそうですが、前日1日観光でお世話になった旅行会社の方曰く、井上靖の小説「敦煌」に出てくる第17窟は必ず回ってくれるそうです(以下写真)。

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石窟内は撮影禁止のため写真が載せられないのが残念なのですが、時代によって石窟自体の形・彫刻・壁画が異なり、めくるめく仏教美術の世界、という感じです。

 

莫高窟観光が終わったのは昼過ぎ。タクシーで宿に戻り、レストランで昼食を取りました。ここのレストランは写真付きのメニュー(タブレット)で注文できるのが便利です。頼んだのはチャーハンと酸っぱ辛い麺と鴨肉。チャーハンは正義ですね。
温かいお茶はお代わり自由なのがありがたいです。今回の中国旅行では多くのレストランで温かいお茶が無料で出てきました。日本のレストランで氷の入ったお水が出てくるのと同じような感覚でしょうか。

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実は前日の敦煌1日ツアーの後、旅行会社のガイドさんから夜の砂漠をバックに毎晩上演される「敦煌盛典」というショーを紹介され、せっかくなのでチケットの手配をお願いしました。ショーの時間までは時間があったため、昼間はホテルでゆっくりした後、また市街地に出てぶらぶら歩きを楽しみました。

ドライフルーツだけでなく、生の果物も沢山売られています。

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シシカバブの店が並ぶ商業一条街で、早めの夕飯を。このあたりはどこも客引きが熱心です。

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三十年老店というのを見てこのお店に決めました。美味しい!

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シシカバブには是非ビールを…というところですが、酔っ払って気持ち悪くなってはいけないと、敦煌特産というこちらのジュースを。

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羊のモツ煮スープ、麺入り。スープの味自体は飲みやすいのですが、モツは部位によってかなりクセがありました。量が多いです。

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敦煌盛典」は毎晩上演されているショーで、場所はなんと宿から徒歩3分!野外の座席が360度回転し場面転換、さらに洞窟(莫高窟)を模したセットの中に入っていくという演出もあります。物語としては画家と少数民族の姫の悲恋モノです。

ガイドさん曰く写真撮影はOK

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熱した鉄をバシャー!

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あまり写真を上げるとネタバレになるので止めますが、面白かったです。ワイヤーアクションやプロジェクションマッピングを駆使した演出に大興奮。劇は全て中国語ですが、ストーリー自体は割とシンプルで、事前にあらすじを頭に入れておけば十分楽しめます。値段は一番安い席で198元でした。

敦煌盛典_百度百科

中国旅行記(3日目 敦煌)

3日目は現地旅行会社の敦煌1日ツアーに参加しました。(この旅行会社には莫高窟入場券の予約代行もお願いしました 。)

 

最初は西千仏洞。北魏や唐、西夏時代の壁画が残っています。石窟内は撮影禁止でした。全部で19の石窟があり、そのうちいくつかに入ることができます。

長い年月の間に破損し、清の時代にテキトーに修復(ガイドさんは「修復ではなく破壊だ」と言っていました)されたものもちらほら。

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次に行ったのは陽関という漢代からの関所です。ここか、後にご紹介する玉門関を通らなければ敦煌から西域に出ることはできませんでした。現在はのろし台が残るだけとなっています。

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陽関を見た後は昼食を取りました。

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レストラン前

地元の鶏肉、ピーマン、玉ねぎ、じゃがいも、しょうがを甘辛く炒めたもの。ここに更に麺をつっこみます。他にニラ玉も頼みました。

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ちょ…多い…(美味しかった)

 

次は漢代長城へ。北京で見られる万里の長城は明代のものですが、ここは漢の時代に作られたもの。土の層と葦などの植物の層が交互に積み重ねられています。だいぶ砂に埋もれてしまったとのこと。

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最後はもう一つの関所、玉門関へ。下の写真に写っているのは最近できたという博物館です。f:id:Elaineintherain:20180529201224j:plain

遠くから見た玉門関。

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こんな感じで中に入れます。f:id:Elaineintherain:20180529201444j:plain

昔の人はこんなところを旅したんだ~!と感慨深いです。悠久の歴史を感じました。 

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最後はホテルまで送っていただきました。

結果的に、日本語ガイドを頼んで本当に良かったです。私達夫婦は中国語ができないので、多分連れて行ってもらうだけだったらどれも「ふーん」で終わっていた気がします。漢の時代から残る遺跡の数々に、中国の歴史の雄大さを感じました。だって漢の時代(紀元前206年~後220年)って、日本じゃまだ弥生時代だぜ…。

敦煌のことも色々教えてもらいました。第一の産業は農業で、ブドウなどが栽培されているそうです。第二は観光業。かなりの割合が観光業に従事しているものの、11月から3月は寒すぎて観光客が来ないため、仕事をしないのだそうです。飛行機が安くなるから旅行に行く人もいるのだとか。日本とは時間の流れ方が違いそうですね。

 

ホテルで少しゆっくりしてから

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また敦煌夜市へ。日本ではまずお目にかかれない、North Korea Cold Noodle。最初に見た時から気になっていました。

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店のおじちゃんが「おっ、韓国人か?!韓国語でもメニュー書いてあるから見てくれよ!」と言ってくれたのですが、残念ながら私達は日本人です…。

 

(他の店でも色々食べたいからって)「2人で1つの冷麺をシェアしたいです」という私達の我儘も嫌な顔ひとつせず聞いてくれました。おじちゃんありがとう。

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安くて美味しい!

 

その後、ガイドさんがお勧めしてくれたロバ肉のお店へ。敦煌ではロバ肉が名物料理みたいです。

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大賑わいです。

 

ロバ肉は意外と癖がなく、脂身も少なく食べやすかったです。お酢(バルサミコ酢っぽい味)につけるとさっぱりして美味しい。サービスで出された少ししょっぱいお湯は、おそらく麺を茹でたお湯だと思います。蕎麦湯的な感覚でしょうか。

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もうひとつの名物の麺。ミートソースっぽいものがかかっています。

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夕食を食べた後は川辺へ。飛び石がたくさんあり、ライトアップもされていて、とても綺麗でした。癒されます。

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川沿いには健康遊具が多数置いてありました。

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リバーサイドをたっぷり堪能し、ホテルへ。

星空の元、月に照らされる砂丘を観ながらカフェでコーヒーを飲みました。

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敦煌に癒されまくりの一日でした。

中国旅行記(2日目 敦煌)

2日目は中国東方航空の12:10西安発→14:45敦煌着 の便を利用し、敦煌へ移動しました。宿からシャトルバス乗り場までは少し距離があり、フライトまでそれほど時間がなかったため、タクシーを拾って空港へ。この時は1時間15分程度かかり、日本円にして3000円ぐらいで行けました。中国は日本に比べタクシーが非常に安いのが有難いです。

 

宿にピックアップを事前に頼んでいたため、車に乗ってホテルへ。 今回泊まったのは敦煌山荘(Silk Road Dunhuang hotel)でした。行ったらお城みたいでびっくり。

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ばばーん

 

観光地である鳴沙山のすぐ近くに位置し、市の中心部からは少し離れています。街の喧騒から離れているため、静かでゆっくりとした時を過ごせました。

荷物を置いたら歩いて鳴沙山へGO!

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鳴沙山は東西40km、南北50kmに渡る広大な砂の峰です。スケールでかい!f:id:Elaineintherain:20180524183342j:plain

いかにもシルクロードっぽい雰囲気が味わえます。ここまで来たらラクダに乗るっきゃないでしょ!と、思わずはしゃいでしまいました。ちなみに1人100元です。

 

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フタコブラクダ。最初は揺れに慣れなかったけど意外と乗り心地は良い。

 

その後、同じ敷地内にある三日月形の泉、月牙泉に行きました。

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泉のすぐそばには楼閣が再現されています。

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その後はバスに乗って市街地へ移動しました。沙州市場(飲食店が集まる場所)のすぐ近くにはドライフルーツ屋やお茶屋が並びます。ドライフルーツは試食もさせてくれるので、じっくり選べます。欲しい分だけ袋に詰めてもらい、グラム単位で支払う方式です。

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晩御飯は悩んだ結果、この「砂鍋」のお店に決定!f:id:Elaineintherain:20180524183503j:plain

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ぐつぐつ…。

 

「砂鍋(シャーグオ)」は一人用の鍋料理です。ネットで調べてみると、主に中国西北部の料理ですが、上海などでも食べられるのだとか。私が頼んだのは酸菜羊肉砂鍋。酸っぱい白菜、きのこ、小松菜、太い春雨、骨付き羊肉などが入っていました。山椒がピリリと効いていて美味しかったです。右下は色々入っているブレンドティーで、乾燥した棗も入っていました。

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量もちょうどいい感じ

食べているとお店の人がやってきて、「可口(kekou)=口に合う か?」と聞かれたので「うんうん、可口、好吃(haochi、美味しい)!」と答えました。私達が日本人だと知ると、「日本の寿司は可口だ!」と笑顔で教えてくれました。

 

食堂が立ち並ぶ敦煌夜市は夜になると更に雰囲気が出てきて良い感じ。
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広場からすぐ近くの商業一条街は日が沈むと露店が出てきて一気に賑やかになります。お土産の調達にお勧めです。f:id:Elaineintherain:20180529200952j:plain

中国旅行記(1日目 西安)

GWに中国(西安敦煌)に夫と行ってきました。
「いつかは行ってみたい」と思っていたシルクロード。本当は新疆ウイグル自治区にも行きたかったのですが、あまり詰めたスケジュールにはしたくなかったため、今回は断念しました。うう、次こそは…!

 

<スケジュール>

1日目 関空西安

2日目 西安敦煌(鳴沙山、月牙泉、沙州市場)

3日目 敦煌(西千仏洞、陽関、漢代長城、玉門関、市街地)

4日目 敦煌莫高窟、市街地、敦煌盛典ショー)

5日目 敦煌西安

6日目 西安兵馬俑、華清池、長恨歌ショー)

7日目 西安(大雁塔、青龍寺、興慶宮公園(阿倍仲麻呂紀念碑)、回坊風情街)

8日目 華山

9日目 西安関空

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今回は中国東方航空を利用しました。

10:00 関空発→(青島で一度降りて入国手続き)→15:20西安

西安の空港から市街地までは結構離れていて、バスで一時間半ぐらい。どんどん街が近づいていくにつれ、その大きさに驚きます。ものすごく都会!大阪を上回るのではないか、という高層ビルの群れ。これだけ多くの建物にそれだけ多くの人が住んでいる、これが中国か…、と、今更ながら人口規模の違いに驚きました。

 

市の中心部です。

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西安の中心部には昔からの城壁があります。これは外から撮影。

f:id:Elaineintherain:20180524175722j:plain本当は「関空敦煌西安」で航空券を取りたかったのですが、「関空←→西安の往復」+「西安←→敦煌の往復」で購入した方が安かったため、敦煌に行く前に一度西安を訪れました。

泊まったのは西安書院青年旅舎というゲストハウス。ダブルベッドの個室を予約しました。

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チェックアウトを済ますと「今日20:00から餃子パーティーを開くからおいでよ!」と言われ、参加することに。

フランス人2名、イギリス人、私達日本人2名、ホストの中国人4名で餃子の生地(既にこねてあるもの)をひとつ分ずつに分け、平らにするところからスタート。中央を少し厚めにして、丸くするのが難しい。
そこから餡(白菜、卵)を入れ、皮を包んでいきました。包み方が日本の餃子とは違うやり方(だったと思う)でしたが、マスターできず微妙な形に。茹でれば全部一緒だ!(←それを言っちゃあおしまいよ)最後はお皿に山盛りの餃子をみんなで分け合って食べました。

こういう「ゲストハウスならでは」のイベントに参加できたことはとても嬉しかったです。私達夫婦は海外に行ったら現地の料理教室に一日参加するのが好きなのですが、今回事前に調べたら「現地の人のお家で餃子を作ろう!」というプログラムは沢山あったものの、どこもかなりの値段で断念していました。今回は無料で参加できたので超ラッキーでした。沢山の国の人が集まるゲストハウスだからこその醍醐味ですね。

ちなみに、このゲストハウスは夜遅くまで音楽が鳴り響いていたので、静けさを求める人にはお勧めしませんが、スタッフの人達もとても親切にしてくれたため、泊まってよかったなと思いました。可愛い猫もいたしね(猫ラブ)

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にゃー。

自己肯定感に悩む大人は今すぐポケモンのウルトラサン/ムーンをプレイしろ

私はポケモンを初代しかプレイしたことがない。初代が発売されたのは1996年。もう22年も前のことだ。
最後にゲームをやったのも10年以上前で、ゲームというものからはずっと離れていた。

何かが変わったのは、2017年のポケモンの映画「キミに決めた!」を観たことからだった。

主人公はサトシで、オーキド博士からピカチュウを最初のポケモンとしてもらい、マサラタウンから旅に出る。つまり、初代ポケモンをプレイした人間にとっては、完全に胸熱な内容である。
まず開始後すぐに、懐かしい戦闘BGMがオーケストラバージョンで流れ、思わず涙が出た。そして初代ポケモンで味わった、あの楽しかった冒険をもう一度体験できているような気がして、ところどころでボロボロ泣いてしまった。懐かしい。懐かしすぎるのである。

21年の時を経て、私はポケモンに再び巡り会うことができた。そしてある日、私は最新作であるウルトラムーンのカセットを手にすることになった。

ウルトラサン/ウルトラムーン(以下USUM)では主人公の性別を選ぶことができ、好きな名前をつけることができる。私は自分の本名でプレイしているのだが、ゲーム内のキャラクターから名前を聞かれる場面が度々あり、答えると、必ず褒められる。

「きみ 名前はなんというのかな?」
「○○…いい名だな」

…生きていて、名前を褒められることなんてあるだろうか?

それだけではない。

USUMの世界には4つの島があり、「島巡り」というチャレンジがメインとなって物語が進んでいく。数々の試練をこなし、最後にその島のキング/クイーンと闘う、というシステムだ(初代にあったようなポケモンジムは無い)。やっぱり(?)悪の組織は出てくるし、伝説のポケモンの謎も解き明かしていく。

この「島巡り」をしているだけで、ありとあらゆる人から応援される。色々なアイテムももらえる。自分は相手に(基本)何もしていないのに。
こんなこと、現実であるだろうか?特に大人になってから、自分のために何かをしているだけで応援を受けるなんて。

バトルで勝っても、「きみとポケモンの強い絆を感じたよ!」と褒められる。相手を打ち負かしたのに、相手も悔しいはずなのに、勝利を称えられる。

ポケモンは子供も楽しめるように作られているためか、主人公は作中で何度となく褒められ、認められ、励まされる。これが、大人になった私達にもものすごく効くのだ。自己肯定感とか、自信とか、自尊心とかが自然に持てるように作られている。そのメッセージは、他人との比較だとか、自分自身へのダメ出しだとかで落ち込み、暗闇でうずくまっている大人のプレイヤーにも真っ直ぐ届く。

だからこそ、自己肯定感を失っている人がいたら是非ポケモンをやってみてほしい。そこはある種の非現実的なユートピアかもしれないが、架空の世界だからこそ、私達大人は心の羽を休め、傷を回復することができる。そこから現実に戻ってきたら、世界の見え方が少し変わっているかもしれない。

挫折とか苦労とか

「お前は挫折の味を知らないから、わからない」

「結婚して子供を持って一人前」

そんな言葉を聞いたことはないだろうか?

 

私は「挫折」とか「苦労」とかは「人に優しくなれるチャンス」だと思っている。

もしくは、「視野を広げるチャンス」「成長できるチャンス」とも。

あくまでチャンスだから、それを活かせるかは別問題だし、活かせなくても責められることではない。

そして、そのチャンスが訪れない人を貶めるのも、意味のない行為だ。

 

例えば、私だったら

・高校時代から(多分)精神疾患を発症、希死念慮とは長い付き合い

・大学時代も無気力、病気にも苛まれ、完全に黒歴史

・会社に入っても症状悪化で休職、自動退職の危機(なう)

あたりが「挫折」と自己認識している。

などと書くと「お前は家族にも恵まれ、志望大学に現役合格して、就職活動も上手くいったじゃないか。精神疾患で休職と言ったって、その制度が整っている会社にいてラッキーじゃないか。結婚して夫という稼ぎ手もいて(以下略」という人も出てくると思うが、別に私はここで不幸自慢合戦をしたい訳ではない。

もしかしたら「死にたい気持ちを持っている人の気持ちが少しはわかる(かもしれない)」「無気力で辛い大学生の気持ちが少しはわかる(かもしれない)」「精神疾患で休職している人の不安や辛さが少しはわかる(かもしれない)」。そしてそういう人達の助けになれる、かもしれない。【かもしれない】というのは、体験は結局人によってそれぞれだし、精神疾患の症状についても人それぞれだからだ。

 

「結婚して子供を持って成長できた」と言う人はあくまで「自己の経験からの感想」を述べているだけで、→「だからそうでない人は未熟だ」と一般論まで持ち込むのは、飛躍しすぎだと思う。(そう言う人は、そもそも毒親の存在を知らない)

確かに子供を持って初めて見える景色もあるだろう。成長できたと実感できることもあるだろう。

しかし子供を持っていない人も、子供のいる人には見えない景色を見ている。もしかしたら子供を持っている人より、元から成熟しているかもしれない。

 

子供を持つことは「視野を広げるチャンス」、「成長へのチャンス」だし、「同じく子供のいる人に優しくなれるチャンス」だ。

繰り返すけど、あくまでチャンスだから、それを活かさなければ駄目な訳ではないし、そのチャンスが来ない人を貶めることもない。

 

…という考えがふと頭に浮かんだので、書いてみました。

 

***

これはついでなのですけれども、「ノーブレスオブリージュ」という言葉がある。日本語訳は「高貴なる者の義務」。恵まれた者に対し、そうでない者への無私の行動を促す言葉だ。

例えば、アメリカの大富豪がチャリティーに力を入れまくる感じ。まあ、実際に行動に移さなくても、恵まれた人間、特にエリートには、その自覚が必要で、そうでない人への目線は必要だと思う。

「上に書いたことと違うじゃないか」と言われてしまうかもしれないけど、他者への想像力はできるだけ持っていた方が良いと思う。「義務」までも行かず「推奨」で。恵まれた人間がその自覚が無いと、「こんなの当たり前でしょ」と、ひどいと人を精神的にぶん殴るような発言・行動をしてしまうので、自戒を込めて、書いておきます。