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日々

岸政彦著「断片的なものの社会学」

 

断片的なものの社会学

断片的なものの社会学

 

 

学術書ではなく、著者が出会った「解釈できないもの」をめぐるエッセイ。
じっくりゆっくり読んだ。

著者はおそらく質的調査(インタビュー等で社会の有り様を探っていく手法)で研究をしている社会学者で、この本では「論文にはならないが記憶に残ったエピソード」が多数出てくる。
そういえば質的調査ってこんな感じだったな、論文にならない部分こそ面白かったな、と思い出しながら読んでいたら、そのうちそんな感慨などかっ飛ばして静かに胸に入ってくるような文章にたくさん出会った。


例えば、幸せのイメージが私たちを縛り付けている(誰かの結婚や出産に対する祝福が、別な人にとっては呪いになりうる)、とか、色々あるのだがうまく説明できない。

この本がまさしく断片的なものを描いたもので、ひたすら著者が惑い続ける内容だからかもしれない。

社会学を学んだことがある方も、ない方もどうぞ。