又吉直樹の「夜を乗り越える」読了。
帯にあるとおり、「なぜ本を読むのか?」について、徹底的に書かれた本。
印象に残ったのは、著者がお笑いを志し上京してきたばかりのエピソード。
当時著者が本に求めていたのは、自身の葛藤や、内面のどうしようもない感情をどう消化していくかということで、「その悩みを抱えているのは自分だけだ」という思い込みを近代文学が砕いていってくれた、というところ。
そして、文学で自分の視点を増やせた、と。
これはショッキングだった。
私も「葛藤」や「内面のどうしようもない感情」を抱えているほうだと思うが(中高生が大人に相談すると蹴られてしまうような類の悩み)、高校時代は本嫌いだったので、国語に出る近代文学も読まなかった(書かれた当時の女性観が気に食わなくて反発していたのも大きい)。
高校時代・大学時代は「古典や近代文学や難しい社会科学の本を読まないといけない」という変なプレッシャーがあり、それを理解できない自分がいたため、本が嫌いだった。(※今でも社会科学の本はちんぷんかんぷん)
社会人になって、やっとプレッシャーから解放され、好きな本を手にすることができた。これは大きな喜びだった。
この本を読んで、自分がこれまで「本嫌い」と自己認識していて本を読んでこなかった勿体無さと、その中でも何冊かの本を読んでこられた幸せを感じ、今からでも本を読むのは遅くはない、と思えた。
著者は「ある年齢の味覚はそのままではない」と言う。
そこで、これまで毛嫌いしてきた(!)純文学というジャンルにも、手を伸ばしてみようと思えた。(現代文学の面白さや、おすすめの作品も書かれている)
今、私は一人でいる時間が非常に長い。
どうしようもなく孤独な時、自分の内面と葛藤するときは、本を読もうと思う。
今は面白そうな未読のSFが部屋に大量にあるので、純文学よりも先にそれをまずは読みたいと思いますががががが(SFを読むのも最高ですよ!